以前、自分の感覚を磨くことについて触れました。
ただ、自分に感覚があるように他者にも感覚があります。
コミュニケーションにおいては、自分以外の感覚にもアンテナを張る必要があります。
それについて、考えさせられる出来事がありました。
先日、身体を動かすワークを頼まれて、やらせてもらう機会がありました。
そのワーク自体は好評をいただいたのですが、その中で1つ非常に興味深いことがありました。
自分の発した問いや指示に対して、予想外の反応が返ってくるということです。
自分の意図とは全然違うように解釈されたり、約束事を確認してから2つ指示をすると2つ目の指示の時には最初の約束事が忘れられていたりします。
それは自分が悪いのではない!
そう言い張ってしまえば、それまでです。
けれど、感覚の食い違いがどこかにあったんですね。
伝えるということ
なにが他者とのコミュニケーションで難しいかって、まず的確に伝えるために相手の感覚に調整した伝え方をする必要があります。
けれど、その調整も完璧とはいかないので、受け取る相手側でもその意図を汲む必要があります。
だから、その過程で少なからず失われる情報があります。
例えば、この写真のような動作をする時にどういう声かけをすればいいでしょうか?
少し考えてみてください。
さて、どんな答えが出てきたでしょうか?
予想される答えを少し挙げてみます。
手を上げる。
→片手を上げる人がいるかもしれません。
両手を上げる。
→どこまで手を上げるのかがわかったり、肘を曲げた状態で手を上げる人がいるかもしれません。
私ならば、「(両手を)バンザイをしてください」と言うでしょうか。
それでも上手く伝わらない人もいるでしょう。
同じ動作も、その表現と解釈の仕方が全然違うんですよね。十人十色です。
丁寧に伝えるのが最善
あらゆる人に響く完璧な問いかけなんて、きっと存在しません。
あったら、戦争もなくなっているでしょう。
だから、誰かとコミュニケーションを取る時も、自分の感覚を磨く時と同じように様々な角度から訴えかける必要があります。
「1本の線を描いてください」
そんな指示があったら口にするだけじゃなくて、紙に書いた同じ文章も見せる。
そして、それを見える場所に貼っておく。
些細なことのように思えるかもしれませんが、視覚が優位な人にとっては言葉で言われるよりも、視覚に訴えかけてくる文章の方がいいかもしれません。そういう丁寧な配慮を重ねていくことがコミュニケーションの潤滑油になっていきます。
逆に、「きっとこれで伝わるだろう」そんな怠惰な気持ちが関係性を崩していくのでしょう。