息をすることは私達にとってあまりにも当たり前で、それゆえに意識することを忘れてしまいます。
けれど、それだけじゃありません。
私達の精神状態と呼吸をすることは切っても切り離せないものでもあります。
例えば、悲しみに暮れている時、人はすすり泣く。
その時の呼吸を見てみると「ヒック、ヒック」と吸う息に力が入ります。
また、睡眠中は腹式呼吸になり、吐く息が自然とゆったりになります。
緊張していると、呼吸は浅くなります。
怒り狂った時は肩を激しく上下させながら、強く吐いて怒鳴り散らします。
そして集中している時、人は息をするのを忘れます。
これはひとしく息と感情がリンクしている証拠です。
だから、「ヒック、ヒック」と吸いながら怒るということはできません。
肩で息をしながら集中するのも無理な話です。
つまり、呼吸を見ているとその人の心のあり方が見えてきます。
呼吸が浅いということは、日頃から心が乱れているということ。
それが限界を超えた時に、パニックになり過呼吸を起こすこともあります。
感情よりも息をコントロールする
感情をコントロールするのが苦手な人がいます。
かくいう私もそれで苦労した人間です。
1度スイッチが入ってしまうと、自分では抑えたいと思っても感情に支配されてしまう。
理性的な人だって怒りを覚えることはあるはずです。
では、いったいどうやって自分を自制しているのだろう?
私はずっと不思議に思っていました。
手がかりとなるのは、呼吸でした。
感情と呼吸が繋がっているならば、呼吸を変えてあげれば感情も変化します。
怒りに駆られた時に、とにかく細く長く吐いてみることです。
鼻からでもいいですし、口をすぼめて吐いてもいい。
そうすると、一瞬の感情の隙間が生まれます。
そこへもう少し呼吸を深く入れてみると、もう怒りに我を忘れることはありません。
職場の上司などであまり怒らない人がいたら、よく観察してみると面白いかもしれません。
なにかのミスが起こった時に、その人は深く息を吐いているかもしれません。
そうやって、感情に振り回されそうになるのを自制しているのです。
息を自由にコントロールできるようになると、身体も心も安定してきます。
もちろんそれは一筋縄ではいくものではないですし、私自身もまだまだです。
ただ、続けていくことで確かな変化は感じられるでしょう。